インコが寿命を全うするまでには病気にかかることもあると思いますが、時には思いがけない事故で大けがをしてしまうことも考えられます。
人が大けがをしたときに緊急処置があるように、インコの緊急時にも対処法があります。
この記事ではもしもの緊急時の応急処置・対処法を紹介しています。
ただし、あくまで緊急処置です。
処置を行える自信が無かったり、時間を費やしてしまうようならすぐに動物病院を受診することを念頭に置いておきましょう。
また、応急処置後も安心せず、すぐにかかりつけの病院へ行きましょう。
出血時の応急処置
インコが出血することは稀にありますが、様子を観察してて良いものもあれば、すぐに病院を受診すべき出血もあります。
とはいえインコは体が小さくもともとの血液量は少なく、出血すること自体が命にかかわってくることも珍しくありません。
羽毛からの出血
羽にも神経や血管が通っているので、羽が折れると大量に出血することもあります。
羽毛の先や柔らかい部分の出血はすぐに止血することがほとんどですが、根本や中心あたりで折れた場合は止血できないこともあります。
羽からの出血が止まらない場合は羽毛を抜かなければならないケースも。
羽の折れた場所や羽が抜けた場所からの出血は清潔なガーゼで圧迫して病院へ行きましょう。
止血できない場合、出血している羽の根元を持ち素早く抜いて、皮膚を圧迫することで止血できることがほとんどです。
しかし中途半端に引っ張って抜けなかったりすると、インコが暴れて出血を助長することにもなりかねません。
自信がなければすぐに動物病院へ連れていきましょう。
クチバシ・爪からの出血
じんわりと血液がにじむ程度なら圧迫止血できれば様子をみて構いません。
ただし明らかな出血や圧迫止血できないと判断した場合は早急に病院を受診してください。
爪からの出血には「クイックストップ 」という止血剤が効果的 です。
本来は犬・猫用に開発された止血剤ですが、爪からの出血であればインコに使用してもよいと言われています。
インコは痛覚が鈍いため焼いて止血する方法もありますが、手技的に難しいことや危険をともなうためここでは説明は省きます。
皮膚・傷からの出血
自咬症や他のインコや動物にかまれるなど皮膚からの出血がみられた場合、清潔なガーゼなどで圧迫止血します。
ガーゼなどなければティッシュなどでも圧迫してください。
圧迫で止血できても傷が大きい場合は動物病院を受診してください。
感染予防のためにも止血できたからといって安心せず、受診した方が間違いないでしょう。
骨折
足を扉に挟んだり、踏まれたりパニックでぶつかってしまったりと骨折をしてしまうこともあります。
とくに メスで発情過多や過産卵だったり、栄養状態が不良な場合は簡単に骨折 してしまいがちです。
骨折しても明らかな変形がなく骨折に気付きにくいケースもありますが、普段と行動や仕草に違和感があったりします。
触られるのを嫌がることもあるので、様子がおかしいときは骨折を疑って病院を受診してみましょう。
骨折していることが分かっても応急処置は難しいため、できるだけ安静を保たせながら動物病院を受診しましょう。
やけど
ケージ内でもヒーターによる低温火傷をする可能性もありますし、放鳥中なら熱いお湯やナベ、皿などに触れてやけどを負うかもしれません。
インコの火傷の原因はおもに 「熱いものにとまる」ことで、足にやけどを負うケースがほとんど です。
やけどをしたらそっと保定し、患部に流水や濡らした布を当てたり水にひたすなどしてまずは冷やします。
患部は冷やしますが体温は下げないように、保温をしながら病院へ行きましょう。
普段から保定できるようなしつけをしていないと、緊急時に安全に保定できないことがあります。
しつけ・あそびとして保定できるような関りをもつように心がけましょう。
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熱中症
日光浴中など暑い場所で過ごしているときに、くちばしを開けていたり、あえぐような息をしている場合は熱中症かもしれません。
ほかにも足を広げて立ち翼を広げるような仕草も熱中症の可能性があります。
急激に体温を下げるとさらに調子を崩すかもしれません。
まずは室温が25度程度(できるだけ暑くない場所)へ移し、水で濡らしてかたく絞ったタオルで包んで保定してゆっくりと冷やします。
その後元気になれば問題ないですが、念のため病院を受診した方が良いでしょう。
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誤飲
誤飲とは食べ物ではないものを誤って飲み込んでしまうこと をいいます。
ケージ内のオモチャのかけらや放鳥時にアクセサリーやクリップなどを誤って飲み込んでしまうケースがあります。
ほとんどは嘔吐や排泄として出てきますが、鋭利なものを飲み込んでしまうと内臓を穿孔したり傷つけてしまう可能性もあります。
誤飲を予防するために部屋を片付けるなどの予防策はできても、誤飲したあとで自宅でできる対策は何もありません。
誤飲が疑われる場合はすぐに動物病院を受診しましょう。
また、誤飲の多くは放鳥中に発生しているため、放鳥中は目を離さないようにしましょう。
中毒
インコは興味を示すとかじったりすることがあるため、ものによっては中毒を起こすことがあります。
有害となる物質や植物をかじったときだけではなく、塗料などの揮発性のガスを吸引することでも中毒症状がおこる ことがあります。
観葉植物でも中毒を起こすこともあるので、中毒の原因となるものを置かないように心がけましょう。
インコが急に衰弱したり様子がおかしいと感じた場合はすぐに病院を受診しましょう。
中毒を起こす身近なものとしては以下のようなものがあります。
- 植物
- 金属類
- その他
ポトス・ディフェンバキア・カポック・ゴムの木・アイビー・ベンジャミン・シクラメン・スイセン・スズラン・チューリップ・シャクナゲ・アジサイ・ポインセチア・ベゴニア・ヒヤシンス・セントポーリア等
カーテンの重り・ステンドグラス・ワイン瓶の金属箔・釣り用の重り・アクセサリー・亜鉛メッキの鈴・チェーンなど
洗剤・シンナー・殺虫剤・タバコの煙・アロマなど
まとめ:飼育者が経験した事故
これまで緊急時の応急処置や対処法を紹介してきましたが、最後に 「みんながどんな事故を経験したのか」ということを調査 しました。
その内容を紹介します。
ほんとうにいつどんな事故をおこすかわからないものです。
予測できないことで起こる事故が多いため、飼育者のいろんな事故の経験談はチェックしておくべきでしょう。
家族がインコを踏んでしまい骨折
足の力が抜けたようにだらんとなり、傾いたような姿勢しかとれなくなり骨折したとすぐに思って病院に連れていきました。
折れ方もきれい?で手術はしなくてもいいとのことで、添え木をしてテーピングで巻いてもらいました。
手術した場合は元気に動いてもきれいに治りやすいそうですが、添え木の固定だけだとあまり動きすぎると骨折がずれたまま固まってしまうこともあるとのことでした。
うちの場合は4週間ほど固定して完治しました。
放鳥中は目を離してはいけないといいますが、さすがに家族全員が見守るというわけにはいかないでしょう。
このケースでは 家族に放鳥中であることを伝えておけば防げた事故かも しれませんね。
エサを温めているナベに飛び込んでやけど
暴れて自ら脱出することができましたが、両足が赤くなってお腹とお尻部分も湯に浸かってしまったようでした。
保定して流水でお腹と足を冷やして様子を見ていると、とくにつらそうな様子はありませんでしたが、病院に連れていきました。
命に関わるようなことはありませんでしたが、先生からは「お腹を冷やしすぎると体調を崩しやすいから冷やしすぎには注意」と言われました。
また、(野生だと弱っていると天敵から狙われやすくなるため、) 鳥は体調がわるかったり痛みがあってもその素振りを見せない そうです。
放鳥中に目を離していたこともありますが、 放鳥中に事故が起こりそうなことをしていたことが一番の問題 だったかもしれませんね。
料理中の熱湯でなかったのが不幸中の幸いでしょうか(;´・ω・)
初心者が過度な保温で熱中症
翌朝、毛布とカバーをめくってみると下に落ちて横たわっていて、明らかに死んでいる様子でした。
鳥かごは思ったより暖かくなっていて、飲み水も温かくなっていました。
聞いたことがない事例でしたが、たしかに初心者なら起こしてしまいそうなものですね。
後から確認したところ、 サーモスタットを使用していなかったとのことで、それが一番の原因 ではないかと思います。
たしかにインコは極端な寒さには耐えれませんが、私は12度程度あれば保温はしてませんし、それで不都合があったこともありません。
飼い主さんなりに調査して保温したようですが、残念なことになってしまいました。
衣服の繊維をかじって誤飲
あるとき急に元気がなくなって吐き気がでていました。思えば尿はでてるけどフンは出てないような状況でした。
腸閉塞が疑われるとのことでレントゲンでははっきりとは写らないもやもやしたもの?が腸に入っているとのことで入院することになりました。
すぐに下剤を使ってもらったのですが、私が帰る前に便と一緒に毛玉の塊が出てきました。
私の セーターの毛玉?繊維?を引っ張って飲み込んでしまい、腸内で固まって停滞して腸閉塞 を起こしてしまったのでしょうとのことでした。
結局は日帰り入院のような形になりました。
私は暑がりなのでセーターなど着ないため起こりにくい事故ですが、こういうこともあるんだなと驚きました。
やはり予測できないことで起こる事故が多いので、いろんな方の失敗談を勉強しておくのは得策だと思います。