飼育されているインコは野生で生活するインコのように動き回る機会も少なく、爪が自然と削れずに伸びてしまいがちです。
インコはブラッシングも歯磨きも必要ないですが、この 爪切りだけは飼い主がケア・管理する必要があります。
この記事では
- 爪切りのタイミング
- 爪切り方法と注意点
- 出血時の対処法
主にこれらのことを動画も交えながら詳しく紹介しています。
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爪切りの頻度とタイミング
まずは爪切りの頻度とタイミングについてみてみましょう。
爪切りの頻度は個体差・環境差あり
爪切りの頻度について詳しくは後述しますが、年に何度も爪切りが必要な個体もいれば、めったに切らなくてもいい個体もいます。
爪が伸びやすくなる症状がある病気もありますし、飼育環境で爪が削れにくいために伸びたままという状況もあります。
つまり同じ種類のインコでも状態や飼育環境次第で爪の伸び方には差が出てきます。
爪切りのタイミング
爪切りのタイミングは「〇㎝」というような明確なものはありません。
爪切りのタイミングとしては
- 絨毯やカーペットに引っかかる
- 洋服に引っかかる
- 普段の関りで痛いと感じる
- 爪が伸びて変形している
このように生活に支障が出てくるようなら切るタイミングです。
爪が伸びたままだといけない?
爪が伸びたままだといけないのでしょうか?
「爪が伸びてるから切る」 という当たり前のようなことですが、切らないことで不都合があるからこそ爪切りが必要だとされているのでしょう。
そこで 爪が伸びたままだとどんな不都合があるのか を調べてみると、以下のようなことがありました。
- 爪が挟まりケガ
- 爪内の血管が伸びる
- 布繊維などに絡まる
- 歩きにくくなる
- 止まり木にとまりにくい
いろいろ考えられますが、結果的には
- インコがケガするリスクが高くなる
- 生活に支障をきたすことになる
こういうことになります。
私たちでも爪が伸びすぎていると
- キーボードが打ちにくい
- 缶のプルタブ開けにくい
- 爪が割れてケガする
- 相手に傷を負わせるかも
このような不都合もありますよね。
インコにとっても同じようなものでしょう。
爪切りのやり方
それでは実際の爪切りのやり方を紹介していきます。
心構えとして、爪切りではインコは暴れるものとして認識しましょう。
保定する人・切る人の2人で行う
爪切りは慣れていれば1人でもできますが、安全のために「保定する人」と「切る人」の2人で行ったほうがいいでしょう。
爪切りに慣れているインコでも、もし爪切りで痛みが生じれば暴れて思わぬケガを負うことも考えられます。
一度爪切りで痛い思いをすると次に爪切りをする際に嫌がりますし、多くは爪切りを見ただけで大人しくできません。
そうならないよう大人しいインコでも集中して爪が切れるように2名で行うことをおすすめします。
小さなインコならそのまま手で保定していいですが、タオルなどで柔らかく包み込むような保定をする方が間違いありません。
中型~大型インコでは掌に収まりきれないため、少し動くだけで手から落ちるかもしれません。
中型以上のインコでは必ずタオルも利用して保定しましょう。
保定といっても必要なときにはじめてやってみても絶対にさせてくれません。
普段から遊びやしつけとして保定に慣らすようにしましょう。
保定のしつけ・練習は下記記事で紹介しています。 飼い主ならインコと一緒に遊んでみたいと思ったことがあるのではないでしょうか。 手にとまらせたり放鳥中の姿を眺めるだけではなく インコと一緒に楽しめる遊び方があ ...
インコと一緒に遊ぶ。遊びの方法と上手に遊ぶコツ。
また、あとで出てくる動画でも保定をしている場面があるので参考にしてみてください。
爪の切り方
爪を切るときには足指を一本ずつ持って切ります。
足首を持ったり足指を固定せずに行うと、爪を切る際に変に足指に負担がかかることがあります。
血管が見える場合は血管のすぐ先を切ると細い血管が走っていて出血することがあります。
血管の先端から2~3㎜離して切るようにしてください。
使用する爪切りは人間用のものでも構いませんし、もちろんペット用の細かく切れるようなものを利用してもいいでしょう。
私はペット用の爪切りは使用したことがありません…。
爪の切り口の角度について
爪を切るときの角度を気にする方もいらっしゃいます。
もともとの爪のように先をとがらせるように斜めに切ったほうが良いのか、切りやすいようにまっすぐでもいいのか…
切り口の角度についてはどちらでも構いません。
というよりも、 嫌がるから角度とか気にする余裕はない んですよね(;'∀')
まっすぐの切り口にしても普段の生活で自然と環境に合うように削れていきます。
角度よりも安全に爪切りできるように意識を集中しましょう。
爪を切るときの注意点
太陽光が当たるなど明るい場所であれば、爪が白い個体など、なかには 爪に血管がどこまで走っているかが分かることもある ので、爪切りの際にはそうやって確認しながら行えればベストです。
また、 動物病院に行けば切ってもらえるので危険をおかしてまで自分で切る必要もありません。
私の行ってるところでは健診や何かの治療でいったときに「良かったら爪も…」というと無料でカットしてくれてます(^^♪
ちなみに、獣医がパチパチとスムーズ・素早く切ってくれますが、それでも出血することはありますよ( *´艸`)
出血した時の対処法
多くの人が経験するであろう爪切り時の出血。
出血した際には次の3つの応急処置があります。
- 圧迫止血
- 線香等で焼いて止める
- 止血剤を利用する
圧迫止血
圧迫止血とは出血部位を圧迫して止血する方法です。
じんわりゆっくりとにじんでくるような出血には有効ですが、滴るような出血だと圧迫では止血できないことが多いです。
線香などで焼いて止血
インコは痛覚が鈍いため、爪先なら焼却止血でも痛みを感じにくいそうです。
私はやったことがありませんが、わりと効果的に止血できるそうです。
止血剤を利用する
犬猫ようの止血剤ですが、インコの爪の出血なら利用しても問題ないと獣医も言っているもので、多くの飼育者が常備しています。
爪切りが不要なインコも
この記事は爪切りの方法などを紹介していますが、爪切りをほとんど必要としないケースもたくさんあります。
私の経験上、「爪切り必要:不要=3:7」くらいのような印象です。
どんなインコが爪切りが不要なのかを挙げてみると次のことがあります。
- 止まり木が天然木
- 放鳥中たくさん歩く
- セキセイなど爪が小さい
つまりは爪がいつの間にか削れるような生活をしているかどうかというところです。
爪が伸びやすいインコの特徴
爪が伸びやすい・爪が削られにくいインコの特徴をチェックしておきましょう。
飼育環境をかえるだけでも改善できることも あります。
- 柔らかい素材が多いケージ・部屋
- プラスチック製のエサ箱の平らな部分に止まっていることが多い
- プラスチック製のグッズが多い
- 床に降りていることが多い
- 栄養が偏っている
爪が削れるアイテムも
天然の止り木を使っているだけでも、ある程度爪は伸びても自然と削れるのですが、どうしても削れずに伸びてしまうこともあります。
野生の猿は爪切りは不要だけど、人間は猿ほど爪が削れるような行動はとらないので爪が伸びて切らないといけないですよね。
それと一緒?です。
さて、飼育グッズの中には、爪が削れやすい素材で作られた止まり木があります。
口コミ的には良いのですが、インコによってはザラザラした感覚が嫌なのか、嫌ってとまってくれないこともあるようです。
もし セメントパーチを利用する場合は、これまで利用している止り木も併用 してください。
硬い素材なのでそれひとつだと足を怪我してしまうこともあります。
インコが必要に応じて他の止り木を利用できるようにしておきましょう。
自分でやってはいけない事
爪切りのことばかり書いてきましたが、飼い主が自己判断で自分で行うべきではないケアもあります。
クチバシのカット
インコのくちばしもライフスタイルや病気が原因で伸びすぎることがあります。
クチバシは爪に比べるとデリケートな場所であり、目の前でくちばしのケアをされることはインコにとって怖いことでしかありません。
くちばしが伸びたのが病気が原因ならその治療が必要です。
安易に自分で対処しようとせず、動物病院を受診してください。 インコも病気をしないのが一番ですが、長生きするインコだからこそなにかしらの病気を経験するものです。 病気にも私たちと同じように「風邪」という一般的なものから、 ...
インコの飼育で経験しやすい病気。原因と症状、治療と対策を紹介。
羽のクリッピング
羽のクリッピングとはインコがうまく飛べないよう、 羽を部分的にカットすること です。
クリッピングの目的 としては
- 屋外に逃げるのを予防する
- 飛びにくくなり飼い主と触れ合う機会が多くなる→懐きやすくなる
このようなことがあります。
羽にも血管が通っており、素人が羽をカットするのには危険が伴うため行ってはいけません。
クリッピングにもデメリットがあります。
- 危機回避能力・瞬発力の低下
- 飛んでも落下しやすい
飼い主のメリットだけでクリッピングをするのもかわいそうなものです。
私は「インコは飛ぶ動物」と認識して、逃がさないようにしっかり注意して飼育していくべきだと感じています。
さいごに
インコの爪切りでは出血というリスクがあり、だれにでも簡単に行えるものではないと思います。
ついつい 「もうちょっと切れるのでは…」 なんて考え、よけいに切りすぎて出血させてしまった経験がある方もいるのではないでしょうか。
インコは痛覚が鈍いとはいえ、傷を負えば炎症・化膿を起こして重症化するリスクもあります。
うまく止血できずに失血により衰弱することだって考えられます。
爪切りはしょっちゅう行うケアでもないですし、なんらかの都合で動物病院に行った際についでにカットしてもらう程度でも構いません。
ただ伸びすぎているとそれなりのトラブルもあるので、爪は飼い主でしっかりチェックしてあげましょう。