インコの主食には2種類あり、それぞれに特徴やメリット・デメリットがあります。
どちらが絶対優れているというものではないので、とくに初心者では何を与えるか悩んでしまいがちです。
この記事では主に次のことを解説しています。
- 主食の種類と特徴
- 種類ごとのメリット・デメリット
- 主食の選びかた・与え方
ぜひ主食の選び方の参考などにしていただけたらと思います。
主食はシードとペレットの2種類
主食には次の2種類があります。
- 天然穀物・種のシード類
- 人工飼料のペレット
それぞれに特徴やメリットとデメリットがあります。
シードはご飯やパンで、ペレットは肉も野菜もついてくる栄養バランスの取れた定食という感じです。
シードとペレットではシードは粒ごとに味が異なるためか、インコたちはペレットよりもシードを好む傾向にあります。
具体的にはこれから解説していきます。
自然の餌に近いシード
シードとはヒエやアワ、キビなどの穀物種子等のことを指します。また、果物などが混じったものもあり、人間でいえば米やパンにあたります。
シードのみを与える場合はその種に含まれる栄養しか摂れないため、次の栄養素が不足しがちになります。
- ビタミン群
- ミネラル
- カルシウム
これら不足するものは野菜などの副食や、ボレー粉などでカルシウムの摂取が別途必要になります。
ボレー粉など副食については別の記事で解説しています。 インコにも主食と副食とおやつと3種類の食べ物があります。 副食は主食と違って選択肢が多いので、どれを与えようか迷ってしまうこともあると思います。 この記事では ...
インコの副食。栄養補給にボレー粉・塩土・野菜。副食の種類と特徴
シードには皮が付いたタイプのものと、皮むき処理された皮なしタイプのものがあります。
どちらも種類別・単種で購入できますが、複数のシードがインコにとって適正な割合で配合された混合シードがあります。
初心者ならいろんな種子が混ざって栄養価が調整されている混合シードを選んでおけばいいでしょう。
細かく栄養管理したい場合は種類別に揃えて自分でブレンドしても良いですが、栄養面を熟知した玄人向けです。
また、インコの種類によっては果物・フルーツを好んで食べるものもいます。そんなインコ用に果物が含まれた混合シードもあります。
皮付きシードの特徴
皮つきシードは種の皮が付いたままの状態でインコに与えるもので、インコが自分で餌を剥いて食べます。
皮を剥くという行動だけですが、健康なインコにとってはこれも楽しみのひとつになります。
皮付きシードのメリット・デメリット
皮つきシードのメリットとデメリットをチェックしておきましょう。
皮付きシードのメリット
皮つきシードには次のようなメリットがあります。
- 皮剥き作業がフォージングになる
- 水分含有量が多い(新鮮)
- 腐敗しにくい
フォージングはインコのストレス解消や発情過多の予防にもなります。
詳しくは下記記事で解説しています。
皮付きシードのデメリット
皮つきシードのデメリットは次のことがあります。
- 皮が溜まって掃除が必要
- 皮が溜まり餌の残量がわかりにくい
- インコが羽ばたくと皮が飛び散ることも
皮つきシードは餌容器に残る皮も多く、パッと見た感じでは餌がたくさん残っているように見えることもあります。
でも実際にチェックしてみると残ってるのは殻・皮だけということもあるので、餌の残量チェックはしっかり行いましょう。
溜まった皮はフッと息をあてるだけで飛ぶので、ゴミ箱の上などで息を吹きかけて確認してください。
ちょうどたまった皮を破棄している動画があったので参考までにつけておきます。
たくさん餌が入っていそうに見えますが、実際には半分程度しか餌が残っていないところがわかると思います。
皮を剥いた皮なしシード
皮を剥いた状態の皮なしシードの特徴とメリット・デメリットは次の通りです。
皮なしシードの特徴
皮なしシードは種の皮を剥かれたもので、 むき餌 とも呼ばれています。
皮がないので簡単に餌を食べることができます。
皮なしシードのメリット・デメリット
皮なしシードのメリット・デメリットも把握しておきましょう。
皮なしシードのメリット
皮なしシードのメリットには次のものがあります。
- ヒナや老鳥でも簡単に食べられる
- 無駄な体力を使わず、摂食に集中できる
- 皮がないので散らからない
- エサの残量が一目でわかる
エサを食べるのが難しいヒナや、病気で体力を使わせたくない場合には食べることに集中できる皮なしのほうがおすすめです。
皮なしシードのデメリット
皮なしシードのデメリットもチェックしましょう。
- 皮つきに比べて栄養価が低い
- 皮がないので乾燥している
- 皮を剥く楽しさがない
- 皮付きより腐敗しやすい
シードの主な種類と特徴
シードにも様々な種類のものがありますが、混合シードにも必ず入っているような主な種類の特徴を紹介します。
ヒエの特徴
ヒエはカロリーはやや低めですが、アワとキビに比べてやや脂質が高めです。
またカルシウムを多く含む特徴があります。
とはいえ必要なカルシウム全てを補えるわけではないので、副食などで別にカルシウムを摂る必要はあります。
アワの特徴
低カロリーですが炭水化物を多く含んでいます。
アワにも赤アワと白アワがありますが、白アワの方が一般的です。
キビの特徴
キビは高カロリー高タンパクですが、脂質が低くタンパク質を多く含む特徴があります。
混合シードの割合
市販されている混合シードは「ヒエ:アワ:キビ=5:2:1」程度の割合で混合されていることが多いようです。
自身で与える場合もこの割合を参考にして、体調に合わせて調整してみましょう。
カナリーシードが配合されているものも
カナリーシードも穀物の一種ですが、脂質が高いため主食としてメインで与えると肥満の原因にもなるものです。
カナリーシードが悪いとは言いませんが、割合的に高い率で配合されている混合シードは控えた方が無難だと思います。
どちらかというと大型インコ向けですね。
その他のシード類
シードはこれまで紹介したもの以外にも次のようなものがあります。
- ソバの実
- ひまわりの種
- アサノミ
- サフラワー
- ナタネ
- エゴマ
いずれもそれぞれの特徴がありますが、基本的にはヒエ・アワ・キビと副食でまかなえます。
混合シードを選ぶときの注意点
混合シードといってもいろんな種類があり、ブレンド内容も違います。
なかにはひまわりの種が多く含まれているものもあり、それだとかなり脂質が高い食事となるためブレンド内容には注意が必要です。
混合シードを選ぶときには飼育するインコに合ったものを選ぶようにしましょう。
自分でどんな餌が合うのかを調べるのも大切ですが、併せてショップの店員の意見も聞いてみましょう。
ペレットは人工の総合栄養食
ペレットは人工的に作られたエサで総合栄養食のようなものになります。
ペレットの特徴やメリット・デメリットを詳しくみていきましょう。
ペレットの特徴
ペレットはインコに必要となる栄養のほとんどすべてをそれひとつで補えるように作られた総合栄養食を言います。
シードはそれぞれで限られた栄養しかありませんが、ペレットならこれひとつだけで間に合います。
ペレットのメリット・デメリット
ペレットのメリット・デメリットをさらに詳しく理解することで、よりペレットの特徴を把握できます。
ペレットのメリット
まずはペレットのメリットから紹介します。
- 必要な栄養がすべて含まれる
- ビタミン剤・サプリメントが不要
- 栄養面を細かく考えなくてもよい
- シードより消化が良い(獣医談)
ペレットのデメリット
それではペレットのデメリットもしっかりチェックしておきましょう。
- 味が単調で飽きやすい
- インコの嗜好性が低い
- 餌だけでフォージングできない
ペレットはナチュラルタイプがおすすめ
食べたものがフンとして排泄されるので、健康状態をより確実に把握したい場合には着色料がないナチュラルタイプがおすすめです。
見た目はかなり地味ですが、大切なのはカラフルかどうかではありません。
インコのことを考えればナチュラルタイプがベストだと思います。
カラフルなカラータイプも
見た目が鮮やかなカラフルペレットもあります。
ただ色つけされているだけのものもあれば、粒・色ごとに味が違うタイプもあります。
色の付いているペレットはフンの色にも影響することがあるため、健康チェックの妨げになることもあります。
個人的には見た目だけの違いなのでナチュラルタイプがおススメです。
また、着色料に不安がある場合はナチュラルタイプの無着色のものを選ぶといいでしょう。
シードの与え方と保存方法
シードはそのまま開封して与え、その袋のまま保存をしてもかまいません。
ですが、そこでひと工夫することで、より安心して与えられ、清潔に保存することもできます。
シードの与え方
購入したばかりのシードでも意外と汚れています。
下の画像はシードをストッキングに入れて水のみですすぎ洗いしているところですが、かなり濁っていますね。
殻に付着した汚れなのでこれ全てを食べるわけではありませんが、水洗いをした後に与えるとより安心な餌として与えることができます。
もちろんすすぎ洗いなしで与えたからといって病気になるようなことではないと思うので、洗わなくても問題ないでしょう。
シードの保存方法
シードのほとんどは海外からの輸入品です。だからというわけではないと思いますが、穀物の種であるためか虫の卵などが混入しているケースがあります。
常温でそのまま保存しているといつの間にか虫が湧いているという話も聞いたことがあります。
可能であれば保存容器やジップロックなどに移して冷蔵保存すれば新鮮に保存できるだけではなく、虫がわくのも予防できます。
ペットボトルに移して保存しておくと与えるときも楽なのでおすすめです(^^♪。
ペレットの与え方と保存方法
ペレットは総合栄養食なのでこれといって与え方もないように感じるかもしれませんが、ちょっと意識してほしいこともあります。
ペレットの与え方
ペレットはほとんどの栄養素をそれだけで補えるのですが、メーカーや商品によって味が異なるのは前述したとおりです。
栄養バランスも違っているので一種類のペレットを与え続けるのではなく、2~3種類程度のペレットを交互に与えることで栄養の偏りを予防することができます。
また、単調な味の変化にもなるので複数のエサを準備するのをおすすめします。
ペレットの保存方法
ペレットは人工的に加工されているので虫の卵が混入することはまずありませんが、外から虫が入って増えてしまう可能性はあります。
やはりペレットもできれば別容器に移して冷暗所で保存したほうが鮮度も保てるのでおすすめです。
シードからペレットへの切り替え方
ペレットのメリットが大きいこともあり、シードからペレットへの切り替えをするケースが多くあります。
しかしこれまでシードに慣れ親しんできたインコがペレット食に移行するのにはスムーズでないこともあります。
シードからペレットへの切り替えをする場合は次のことを意識したり試してみるといいでしょう。
- シードに粉末状のペレットを加える
- ペレットを粉末から砕いたものへ
- ペレットに砂糖を少しかける
- オヤツとして与えてみる
(インコは糖分を好むため)
ただしペレットは商品によって味が異なるようで、ペレットを食べてるインコでも、ペレットの種類を変えると食べなくなることもあります。
つまり今食べてくれないペレットでも、エサを変えれば食べてくれることは良くあります。
個体差で好みの違いもあるので、ペレットへの移行は気長に挑戦しましょう。
産卵期・換羽期には高エネルギーなエサを
ペレットでは人工的に栄養のコントロールが容易なため、産卵期や換羽期などより体力を必要とする時期に与えたい高エネルギーなエサもあります。
シードでは一粒一粒のエネルギーは限界があるため量を必要としたり、普段は食べないような種子類を準備する必要があります。
その点、ペレットはあらかじめ専用のエサが販売されているので時期に合わせてエサを選ぶのが容易です。
肥満時にはダイエットフードも
エネルギーが必要な時だけではなく、肥満気味だったり高齢鳥で高エネルギーが必要でない場合にも専用のペレットがあります。
食欲のあるインコなら量を食べても安心なように低エネルギーのものを選ぶといいですし、あまり食べれないのであれば少量でもエネルギーを補えるように栄養価の高いペレットをあたえるという工夫も可能です。
コラム:ペレットとシードは併用がおススメ
ペレットは栄養価に優れているため、シードから完全ペレットに移行をしていく方も多いものです。
正直、 ペレットだけの方がお世話はかなり楽 です(^◇^;)
でもインコはシードの方を好むならシードも与えつつ、ペレットも与えられたら一番かなって思います。
もし私が「このサプリメントは栄養完璧だから、ご飯食べずにサプリだけに!」って言われても、やっぱりいろんな食べ物を食べたいですもんね(^^)
ペレット7割:シード3割で与えれば、カルシウムやビタミンなどのサプリメント・補助食品は不要と聞いたことがあります。
ペレットに慣れてくれたらこの比率でもちゃんと食べてくれています。